体脂肪には内臓脂肪と皮下脂肪の2種類がある
体脂肪は、つく場所によって、大きく「内臓脂肪」と「皮下脂肪」に分けられます。 内臓脂肪は、お腹の臓器の周囲につく脂肪で、皮下脂肪は、皮膚のすぐ下につく脂肪のことです。
内臓脂肪は、蓄積するとさまざまな病気の原因になることが、近年知られてきました。 実はこの内臓脂肪、皮下脂肪に比べて「減らしやすい!」のです。 ご存じの方は、少ないのではないでしょうか?
内臓脂肪は皮下脂肪と比べ、比較的落としやすいという性質を持っている半面、皮下脂肪に比べて蓄積されやすいという性質も持っています。
近年話題のパーソナルトレーニングにおいては様々なトレーニングメニューがありますが、その目的の一つがこの「内臓脂肪を落とす」ことです。
今回は、「食事管理」と「運動」という観点から、パーソナルトレーニングがどのように内臓脂肪にアプローチするのかについて紹介をしていきます。
食事管理
内臓脂肪、皮下脂肪を問わず、体内に脂肪が蓄積される原因としては過剰なカロリー摂取が挙げられます。
脂肪蓄積の代表格が「糖質」
現代人の生活において、この余剰カロリーをもたらすもっとも大きな要因として挙げられるのが「糖質」です。人間が糖質を大量に摂取するようになったのは1万年ほど前に農耕が始まり、小麦や米などの穀物類を「主食」とするようになってからだと考えられていますが、このことは同時に「肥満」という問題を生じさせるようになりました。
こうした経緯を踏まえ、内臓脂肪の最も大きな原因である「糖質」の余剰を無くそうとするのが食事管理の最もオーソドックスな方法である「糖質制限」です。
糖質制限による内臓脂肪の減少効果
一般的に糖質制限というとイメージされるのは米やパン、麺類などの主食をカットした食生活の実践ですが、いきなり主食をカットするということが難しい場合、まずは間食などの「甘い物」の摂取を無くすことを心がけるようにします。
こうして脂肪の減量である糖質をカットすることにより脂肪の蓄積を抑えることが可能となるのですが、この際に最初に減っていくのが内臓脂肪です。
なぜ糖質制限で内臓脂肪が減るのか
人間(哺乳類)は外部の気温に左右されず体温を一定に保つ「内温動物」として知られていますが、この内温性の維持には脂肪が欠かせません。人間を含めた内温動物は常に多くのカロリーを必要としそれを燃やすことで体温を一定に保ち、さらにカロリーの基となる食物が無くなってしまった場合に備えて余剰カロリーを脂肪として蓄積させる体質を持っています。
皮下脂肪は服を着るのと同じく体温の維持に必要な脂肪です。これに対し内臓脂肪は皮下脂肪のさらに余剰分(ストック)であるため、皮下脂肪よりも早く分解され消費されていくのです。そのため、糖質制限で体内にエネルギーが足りない状況が発生すると、優先的に内臓脂肪が使われ結果として内臓脂肪を減少させることができます。
糖質制限の難しさ〜「空腹感」と「ストレス」
反面、糖質制限の際にネックとなるのが空腹感とそれによるストレスです。現代人の多くはご飯やパンなどの糖質を主食として摂取することにより満腹感を得る生活を送っているため、糖質制限を行うと食事による満腹感を得られずストレスが溜まるという問題が発生します。
特に日本人の食事にはほとんどお米が欠かせないものとなっていますし、お菓子やケーキ、うどん、ラーメンなど巷に溢れている食事には必ずと行っていいほど糖質が含まれており、それを制限するというのは精神的にも物理的にもなかなか難しい、というのが実際でしょう。
タンパク質・食物繊維の「置き換えダイエット」の効果
そこで糖質制限の際によく行われるのが、食事における糖質の摂取分をタンパク質や食物繊維によって補うというアプローチです。これがいわゆる「置き換えダイエット」と言われるものです。
置き換えダイエットでは、糖質の代わりにタンパク質や食物繊維を中心とした生活を行うので、極端なダイエットによるタンパク質の摂取量低減やそれに伴う筋肉量の減少・代謝低下も防げますし、食事内容的に血糖値の上昇がゆるやかになることで脂肪蓄積にしづらい身体になることができます。
そのため近年の食事管理では糖質を制限する一方でタンパク質に関しては積極的に摂取することが推奨されるようになっています。
以上がパーソナルトレーニングの食事管理による内臓脂肪へのアプローチの概略となりますが、実際のパーソナルトレーナーによる食事管理では個々人の体質や生活習慣に合わせより細かな指導が行われることもあります。
運動
先程も述べたとおり、筋肉は代謝機能と密接な関係を持ちます。筋肉はそれ自体が熱を帯びた組織であり、筋肉量を増やすということはそれだけ多くの熱(カロリー消費)を発生させることに繋がります。これがいわゆる基礎代謝の向上と言われるものです。
筋肉量を増やすのに有効な運動=「無酸素運動」
この「筋肉量を増やす」ということを目的として行われるのが「無酸素運動」です。無酸素運動とは一般的に筋力トレーニングなどの筋肉に過負荷をかけて超回復で筋肉増強を目指す運動のことを指します。
パーソナルトレーニングジムの広告などではよく「自分の限界を超える!」といったフレーズが見られますが、ここで言う「限界」とは多くの場合「自分が行える筋力トレーニングの重量、回数」のことであると考えて良いでしょう。
例えば腕立て伏せの場合、「20回×3セット」というような形式でトレーニングを行いますが、この20回を25回にし3セットを4セットにする、ということが筋力増強においては大変重要となってきます。
筋肉を動かすことで脂肪燃焼を行う=「有酸素運動」
また無酸素運動で増大した筋肉は、実際にそれを動かすことによりさらに大きな脂肪燃焼効果を発揮します。ここでの「筋肉を動かす運動」として重要なのが、「有酸素運動」になってきます。有酸素運動は一般的にジョギングやランニング、水泳、ダンスや格闘技などのことを指します。
無酸素運動で筋力を上げて基礎代謝をあげ、さらにその鍛えた筋肉を有酸素運動で動かす、という循環を行うことで効率よく脂肪燃焼を行い、さらに糖質制限でその効果を上げる、というのが近年パーソナルトレーニングで取り入れられている手法になります。
以上がパーソナルトレーニングにおける運動による内臓脂肪へのアプローチの概略となりますが、トレーナーによってその人の体質や体力などにより、細かなトレーニングプランが策定されます。