加圧トレーニングとは、圧力をかける専用のベルトを腕や足のつけ根に取りつけて、適切な圧力を掛けその状態で運動を行います。血管に圧力を掛けて血液の流れを制限してトレーニングを行うことで、通常よりも高い効果のトレーニングを行うことができます。
なぜ加圧しながらトレーニングをするか?
腕や足を加圧する(血液の循環を制限する)と血流が滞り血液が低酸素状態に陥ります。一見すると危険な状態ですが、この低酸素状態を作り出すことにより、より筋肉が酸素を取り込もうとすることで普段は使用されない筋肉繊維を刺激することになります。
加圧トレーニングのメリット:運動効果を高めることができる
そのため、加圧状態で運動することで比較的少ない運動でも通常よりも大きな効果を得ることが出来ます。少ない運動で高い効果をもたらすのが加圧トレーニングの目的とメリットです。副次的に以下のような効用が得られます。
基礎代謝の向上
基礎代謝は人間が日常生活を行う上で必要とされるエネルギーのことで、体温を維持したり内臓の機能を維持したりと、特別な運動などをしなくても生命維持のために日常的に消費されるエネルギーです。
一般的に基礎代謝が高い人ほど「痩せやすい体」だといえます。この基礎代謝は身長や体重、筋肉量によっても高めることができますが、加齢によって下がっていきます。
加圧トレーニングとは、筋肉に圧をかけながらトレーニングするため、通常の状態で筋トレをするより負荷がかかり、短い時間で効率的に筋肉が鍛えられます。そのため、加圧トレーニングはこの基礎代謝の向上に大きく寄与します。加圧トレーニングは「それだけで痩せられる!」というより「痩せやすい身体づくりができること」が最大の効果だといえます。
ダイエットに高い効果
「筋肉が鍛えられる」というと、「痩せたいだけなので、筋肉ムキムキのゴツゴツした身体にはなりたくない!」と思う人もいるかもしれません。しかしながら、筋肉が鍛えられてくると「基礎代謝」が上がっていくところが重要なポイントで、この基礎代謝の向上により日常生活においても痩せやすい体作りを行うこおができます。
また、低酸素状態で運動するとそれに比例して成長ホルモンが増大します。成長ホルモンが増大すると疲れにくくなり集中力が持続しやすくなったり、トレーニングによって筋肉が増大することで更に太りにくい体となり、ダイエットにおいても副次的に高い効果をもたらします。
血行が促進される
加圧トレーニングを繰り返していくと血行が良くなり、末端部分である手や足などの血流も良くなり、代謝が活発になります。毛細血管などにも血流がいきやすくなることで、肩こりや冷え性などにも体の不具合の改善にもつながります。
筋肉量の増加
加圧による低酸素状態で運動することにより、普段の運動よりも短時間で筋肉量を増やすことが出来ます。また、軽い負荷でも効果が出るため、重いダンベルを何度も持ち上げるようなトレーニングをしなくても軽い運動でも筋肉がつきやすくなり、運動の負担が少なくなります。
怪我の回復が早まる
加圧トレーニングを行うことにより、怪我からの回復が早まるとも言われています。
加圧トレーニングを実際に行ってみるとどんな感じか?
腕にベルトをまいてトレーニングすると、腕が膨れて血管が「ドクンドクン」となっているのを感じることが出来ます。これは血液の流れが悪くなっていることで、脈動を感じる事ができるのですが、この状態でトレーニングすると腕や足がパンパンになって血液が溜まっているのがわかると思います。
加圧トレーニングを行う際の注意点
では、加圧トレーニングに危険性はないのでしょうか?実は「基礎代謝アップ」「アンチエイジング」といった魅力的な言葉にばかり惹かれてしまいますが、加圧トレーニングにはリスクがあることも認識しておく必要があります。
プロトレーナーの指導の元でトレーニングを行うこと
まず、「専門的な知識を持ったトレーナーの指導のもと、適切な方法で行う」というのが大前提だと考えましょう。間違った方法で行えばきちんと効果が出にくいばかりか、怪我をしたり、命にかかわる事態にもなりかねません。
加圧トレーニングに必要な専用のベルトの選び方から、巻く箇所・巻き方・巻く強さにいたるまで、専門家のアドバイス抜きで行うのは難しいものです。 加圧トレーニングは一時的に身体の血流を制限するので行う際は必ずプロのトレーナーの指導のもとで行うようにしましょう。
実際のトレーニングでは以下のことが大切になります。
加圧量の調整が大切
実際のトレーニングでは加圧のためのベルトを腕や足の付根に巻くことになりますが、この加圧量の加減が非常に難しく、プロでないとなかなかちょうど良い加減というのがわかりません。間違った方法を行うと、効果がないだけでなく、当初の想定とは違う筋肉がついてしまったり、うっ血するなど身体に良くない影響が出ます。
過度の加圧および血流遮断に注意
もし一度ジムで習ってやり方を覚えたとしても、自分で自宅の中で行うのはある程度の危険が伴います。たとえば、動脈ではなく静脈を適切に加圧することは素人では判断が難しいポイントです。また身体の状態に合わせて徐々に圧を加減していくのも大切なポイントです。急に極端な加圧したり、体調を無視した加圧はトレーニング後にめまいがしたり、気分が悪くなったりする場合もあります。最悪の場合には、血栓ができるなど命や病気のリスクを伴います。
「短時間でできる」というのは加圧トレーニングのメリットのひとつではありますが、あくまでも自己流には危険が伴うことを理解しましょう。
特に加圧トレーニングでは血液が流れにくい状態を作るのが必須ですが、あまり加圧しすぎると流れが著しく悪い状態になり、結果として貧血になってしまったり、手足のしびれの原因になります。
必ず加圧トレーニングのプロに指導を仰ぎ、正しい加圧量のもとトレーニングを行うようにしましょう。
まとめ
加圧トレーニングはきちんとしたトレーナーの指示のもとで適切に行うことで効果的に筋肉をつけたり、軽い運動でも高いダイエット効果を望めるトレーニング方法です。慣れれば自分でも実施できますが、初めての方は専門のトレーナーに方法を教わりながら実施することが良いでしょう。