日本にはリポビタンD、レッドブル、モンスタードリンクなど様々な栄養ドリンク・エナジードリンクが売っており、コンビニでもスーパーマーケットでも自販機でもどこでも買うことが出来ます。エナジードリンクを飲むと「元気になり頑張ることができる!」というイメージがあり、ここぞというときの一本、という感じがしますが、実際エナジードリンクにはどのような効果があるのでしょうか?
大量の糖分とカフェインで覚醒を促す
エナジードリンクは中身を調べてみると、大量の糖分とカフェインが含まれているものがほとんどで、そのほかにビタミンB1などが含まれています。中でもカフェインは非常に多く含まれています。
実際に500mlのエナジードリンクの中にはティースプーン13杯分の砂糖と、コーラ4缶分に当たる160mgのカフェインが含まれているものもあります。
エナジードリンクに含まれる多量のカフェイン
例えば、レッドブル缶500ml一本の中には相当な量のカフェインが含まれており、他の飲み物に換算すると以下の量に相当します。
- コカ・コーラ350mlにすると4缶分
- エスプレッソにすると4杯分
海外では1日200mg〜多くても400mg以下の摂取が望ましいとされていますが、日本は過剰摂取を想定しておらず、最大摂取量の目安を設けていません。
しかしカフェインへの耐性には個人差があり、体格が小さい女性や子供は少量でも許容量を超える恐れがあります。許容量を超えた場合に起こる健康的なリスクにはどのようなものがあるでしょうか?
カフェインの多量摂取による健康リスク
- カフェイン中毒
カフェイン入り飲料を立て続けに何杯も飲むなど極端なカフェイン摂取を行うと、中毒になる恐れがあります。 - 睡眠障害
カフェインを取り過ぎると血中濃度が急激に跳ね上がり、不眠や吐き気、震え、心拍数の増加などを招くことがあります。精神面でも落ち着きがなくなったり、焦燥感を抱くようになるなどの影響があるとされています。 - 低カリウム症・不整脈の原因となる恐れ
またカフェインの取り過ぎはtカリウム血症になる原因の一つと考えられています。カリウムの血中濃度が下がると不整脈や筋肉の細胞が壊れる現象などが起き、最悪の場合、死亡することもありえます。 - 脱水による骨粗鬆症の恐れ
また、カフェインは利尿作用があるため、カルシウム不足の人が過剰摂取すると、カルシウムが多く体外に排出され、骨粗しょう症になる可能性が高まるといわれています。
カフェインの影響メカニズムは研究途上
カフェインはアルカロイドという有機化合物の一種で、約200年前にドイツの化学者が世界で初めてコーヒー豆から分離・抽出したのが最初と言われています。
カフェインが含まれる飲料として最も想起されるのがコーヒーで、世界中で親しまれてきたカフェインの摂取による効果や弊害は現在でも広く知られるようになっています。しかし、その詳細なメカニズムは完全に解明されたわけではありません。
わかっているのは中枢神経を刺激し眠気を払うなどの作用をもたらすことや、筋肉のエネルギーを作るアデノシンという物質に構造の一部が似ていることなどで分子メカニズムはまだ不明です。
カフェイン=悪者ではない?
一方で最近の研究によると、珈琲を飲んでいる人に一部のがん(肝臓がんなど)の発生率が低減されているなどの結果も出てきています。
コーヒー摂取量と肝がん発生率との関連
コーヒーをほとんど飲まない人と比べてほぼ毎日コーヒー飲む人では肝がんの発生率が約半分に減少し、1日の摂取量が増えるほど発生率が低下し、1日5杯以上飲む人では、肝がんの発生率は4分の1にまで低下したという結果もあります。そして、この発生率の低下は男女に関係なく見られていました。
コーヒーを毎日たくさん飲むようにすると肝がんの発生率が低くなるのか
こうした統計データからある程度コーヒーの摂取と肝臓がん発生率が低いというのは、相関関係があると考えれられています。しかしながら、どうしてコーヒーをよく飲んでいる人で肝臓がんの発生率が低くなるのかについては実はまだよくわかっていません。
カフェインは関係ない?
また、別の研究ではコーヒーと同じくカフェインの多く含まれている緑茶の場合、多く飲んでいる人でも肝がん発生率の低下がほとんど認められなかったことから、カフェインというよりは、コーヒーにのみ含まれている別の成分が関与しているものと考えられています。
やりすぎ注意
このように、エナジードリンクに多く含まれるカフェインの効果は「なぜか元気になる」というのが通説でありはっきりとしたメカニズムはまだ分かっていません。良い点ももちろんありますが、日本国内でもカフェイン中毒による死亡例などもあります。良薬であっても過ぎたるは及ばざるが如し。
大切なのは、「エナジードリンクに頼りすぎない」こと、そして何事もほどほどにする、ということかもしれません。くれぐれも、栄養ドリンクやエナジードリンクの飲み過ぎには注意しましょう。